「五月病」というコトバの語学的ウンチク

さて、2025年のGWも昨日で終わりました。これから平常の生活に戻り、中学生の人たちもまた勉強とクラブ活動の日々が!

そこでお尋ねです。
みなさん、心と体の調子はどうですか?
巷では、「五月病」というコトバがよく聞かれます。「ごがつびょう」と読まれますが、まれに「さつきびょう」とも言うそうです。

さて、この「五月病」、どのような病気なのかは、また別の機会にでもネット検索してみてくださいね。

私がこのコーナーでお話ししたいのは、このコトバにまつわるウンチクです。

実は、このコトバは、英語では文字どおり"May blues"と訳されます。
Mayは「五月」ですね。
そして "blues" は落ち込んだ気持ちとか憂鬱を表すコトバです。正しい発音は[ブルーズ]と濁りますが、音楽のひとつのジャンルとしての意味もあります。「〜のブルース」などのように、日本語では「ブルー」ではなくなぜか「ブルー」と清音です。
和製英語ですね(笑)

この英単語 "blues" はこれが面白いのですが、「青」を意味する "blue" に名詞の複数形を表す "~s" が接続したものであることはあまり知られていません。
英語のこの "blue" という語は「落ち込んだ気持ち」を表す色として使われます。
" I'm feeling blue." 「気分が落ち込んでてさ」などのように使われます。
そういえば日本語でも「今日はなんだかブルーだなあ。」なんて言いますね。

さて、本題に入りますが、英語にはもともと "May blues" という表現は存在しません。
英語に本来備わっていたのは "September blues" 「九月病」。
英語圏はもちろん日本以外のほとんどの国では、新年度は9月ないし10月に始まります。
で、長い夏休みが終わって新たに学校生活が始まるこの時期に起こる気分の落ち込みをそのように表現したわけです。

というわけで、本来英語には "May blues" という語句はありません。
新年度が始まる前の長い春休みの存在が日本独特のものだからです。

英語人に " I feel like I'm suffering from May blues."「五月病にやられているようなんだ。」と語りかければ、「えっ、それなに?」という感じになるかと思います。
この表現を理解してもらうためには、少し説明してあげないとダメかもですね !!!

このウンチクは役に立ちましたか?
あなたの教養として、周りの人に面白おかしくひけらかしてもらえれば嬉しいです!